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【社労士】健康保険法 適用事業~賞与

健康保険法とは?

 健康保険法とは、

 労働者又はその被扶養者の業務災害(労働者災害補償保険法第7条第1項第1号に規定する業務災害をいう。)以外の疾病、負傷若しくは死亡又は出産に関して保険給付を行い、もって国民の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする

 ものです。労働者が対象であって、労災保険とは異なり業務災害以外を担当します。

 

 

適用事業所

  1.  適用業種である事業の事業所であって、常時5人以上の従業員を使用するもの
  2.  国、地方公共団体又は法人の事業所であって、常時従業員を使用するもの

 このふたつが強制適用の事業で、それ以外は任意適用になります。

 適用業種というのは十六種類規定されていますが、たいてい適用事業だと思っていいです。適用業種でないものはサービス業、特に法務・宗教・旅館・料理店・農林水産業を覚えておきましょう!

 宗教の法務がリッチな旅館で料理を楽しむって覚えると良いです。信者はせっせと農林水産をやってます。

 

【任意適用事業所】

 (入るとき)

 事業所に使用されるものの1/2の同意を得て、厚生労働大臣に申請をします。

 (やめるとき)

 やめたいときは3/4の同意を得て、厚生労働大臣に認可を受けないといけません。

 

※ただし、希望したからといって使用者が保険に加入する義務は生じません

【適用事業所の一括】

 事業主が同一である場合は、厚生労働大臣の承認を受けて一つの適用事業とすることができます。

 

 被保険者

  1.  一般被保険者(=2~4以外の被保険者)
  2.  日雇特例被保険者
  3.  任意継続被保険者
  4.  特例退職被保険者 

 どれに当てはまるか判定しようとして考える順番で見ていきましょう。

 

 就職中 → Aへ

 退職後 → Cへ

 

【 A.日雇特例被保険者】

  •  臨時に使用される者であって、日々雇い入れられる者(ただし、同一の事業所において1月を超えて引き続き使用されるに至った場合を除く)。
  •  臨時に使用される者であって、2月以内の期間を定めて使用される者(ただし、その期間を超えて引き続き使用されることになった者を除く)。
  •  季節的業務に使用される者(当初から4カ月以上引き続き使用される場合を除く)。
  •  臨時的事業に使用される者(継続して6月超えて使用される者を除く)。

 

 この4つのいづれかに当てはまる者が日雇特例被保険者と言われます。ちなみに「~を除く」で除かれた場合は一般被保険者になります。

 

【B.適用除外】

 日雇特例被保険者でないことがわかったら、次は適用除外に当てはまらないかどうか見ましょう。

  •  船員保険後期高齢者医療の被保険者
  •  事業所で所在地が一定しないものに使用される者
  •  国民健康保険組合の事業所に使用される者
  •  厚生労働大臣健康保険組合又は共済組合の承認を受けた者
  •  短時間労働者(通常の労働者の週当たり3/4未満の日数しか働かず、次のいづれかに当てはまる者。①週当たり20時間未満、②1年以上勤務が見込まれない、③報酬が88000円以下、④学生)

 四番目の「承認を受けた者」というのは、健康保険ではなく国民健康保険に入りたい人です。

 

 

【C.任意継続被保険者】

 次の要件をすべて満たす者は保険者に申し出て、被保険者になることができます。

  •  適用事業に使用されなくなった又は適用除外に該当するに至ったため、一般被保険者の資格を喪失した者
  •  その資格喪失の日の前日まで継続して2カ月間以上一般被保険者であった者
  •  資格喪失日より20日以内に申し出た者
  •  申し出て初めて納付すべき保険料を期日までに納付した者

【D.特例退職被保険者】

 国民健康保険に規定する退職被保険者に該当する者のうち、特定健康保険組合の規約で定める者は当該組合に申し出て被保険者になれます。ほとんどの場合任意継続被保険者と同じ扱いになります。

 

 以上、BCDに当てはまらない者はすべて一般被保険者になります。

 注意点としては、被保険者というのは「適用事業所に使用される者」というのが大前提ですので、たとえば個人事業の事業主はそれにあてはまらないため、被保険者にはなれません。

被扶養者

 国民健康保険と健康保険の違いはなにかといえば、扶養できるかできないかです。健康保険は労働者は自分の家族とまとめて保険の適用を受けられますが、国民健康保険は扶養というものがないので、あくまで保険は一人一人です。

 

 健康保険法における被扶養者とは、

  •  被保険者の直系尊属、配偶者、子、孫及び兄弟姉妹であって、主としてその被保険者により生計を維持する者
  •  被保険者の3親等内の親族で、上記以外のものであって、その被保険者と同一の世帯に属し、主としてその被保険者により生計を維持する者

 のことです。またややこしいですが、大雑把にいえば3親等内の親族であれば「一緒に住んでいて」「生計を維持している」という条件で扶養できるということです。そのなかで直系尊属や配偶者・兄弟姉妹は特別で、別に一緒に住んでなくても扶養できます。

 

平成17年 健康保険法 問9 肢B

被保険者と別世帯にある被保険者の孫であっても、主として被保険者によって生計を維持している者は被扶養者とされる。

 

 もちろん答えはマル。3親等の中でも孫は特別だったので一緒に住んでいる必要はありません。

平成30年 健康保険法 問10 肢B

被保険者の配偶者の63歳の母が、遺族厚生年金を150万円受給しており、それ以外の収入が一切ない場合、被保険者がその額を超える仕送りをしていれば、被保険者と別居していたとしても被保険者の被扶養者に該当する。

  配偶者のオカンは3親等内なので扶養できます。しかし特別ではないので「同居」「生計維持」が必要です。なので別居していたら駄目です。……という原則通り考えれば150万円がどうとかはどうでもよく、バツになります。

 

 以上が原則なのですが、微妙になってくるのが「養父母」「事実婚」といったような親のような、配偶者のような、法律的にどう扱われるのかぱっとはわからない人たちです。養父母のほうは簡単で、この人たちは「父母」と同じ扱いを受けます。

 一方で事実婚のほうは複雑です。事実婚している相手は基本的に配偶者と同じく扱われるのですが、その近辺が微妙です。

平成21年 健康保険法 問7 肢A

被保険者の配偶者で届出はしていないが、事実上の婚姻関係と同様の事情にある者の子であって、同一世帯に属していないが、被保険者により生計を維持している者は被扶養者として認められる。

  事実婚配偶者の子どもです。自分の子どもなのだから「生計維持」だけで良さそうに思われますが、そうではありません。事実婚配偶者との子どもは「同居」していないといけません。

 また、原則的には配偶者の兄弟姉妹は3親等内で扶養できますが、事実婚配偶者の場合は違います。「同居」していて「生計維持」していても扶養できません。

 

生計維持ってなんやのん

 「同居」というのはわかりやすいのですが、「生計維持」というのはどういう状態のことでしょうか。

 

①同居しているケース

 

 認定対象者の年間収入が130万円未満(認定対象者が60歳以上の者である場合又は概ね厚生年金保険法による障害厚生年金の受給要件に該当する程度の障害者である場合にあっては180万円未満)であって、かつ、被保険者の年間収入の2分の1未満である場合

 

  ということです。Aさんと一緒に住んでいるBさんが扶養されるためには、Bさんの稼ぎがAさんの半分以下で、しかも年収130万円以下でなければなりません。それより多いと「Aさんに養われている」とはいえないとされるのです。

 

平成27年 健康保険法 問8 肢B

年収250万円の被保険者と同居している母(58歳であり障害者ではない。)は、年額100万円の遺族厚生年金を受給しながらパート労働しているが健康保険の被保険者にはなっていない。このとき、母のパート労働による給与の年間収入額が120万円であった場合、母は当該被保険者の被扶養者になることができる。

 

 年収250万円のあなたと一緒に住んでいるオカンについて考えましょう。オカンは3親等内でしかも特別なので、原則として扶養されます。

 では「生計維持」要件を満たしているでしょうか?

 オカンは同居しているので、年収130万円以下&あなたの年収の半分以下でないといけません。ですがオカンは220(100+120)万円年収があります。だから生計維持していることにはなりません。よって、扶養されません。答えはバツ

 

②別居しているケース

 

 先ほどは同居しているケース。次は別居しているケースです。

 

認定対象者の年間収入が130万円未満(認定対象者が60歳以上またはおおむね障害厚生年金を受けられる程度の障害者の場合は180万円未満)であって、かつ、被保険者からの援助による収入額より少ない場合には、被扶養者となる。

 

 130万円は同じですが、年収1/2以下ではありません。いわゆる仕送りより多く稼いでいたらダメという条件になっています。

 

平成26年 健康保険法 問5 肢B

被保険者と同一世帯に属しておらず、年間収入が150万円である被保険者の父(65歳)が、被保険者から援助を受けている場合、原則としてその援助の額にかかわらず被扶養者に該当する。

 

 あなたは独り立ちして、実家にいる親父にお金を送っています。親父は3親等内で特別なので「生計維持」だけでOKです。さて、あなたは親父の生計を維持してやっていることになるでしょうか。

 条件は「130万円以下&援助額以下」でした。

 さて、問題文には150万稼ぎがあると書いてます。この時点で扶養できません。しかも援助の額に関わらず該当すると書いていますのでさらに違います。答えはバツ

 

 

報酬と賞与

 健康保険は保険なので、金払ってれば払ってるほど給付のときのリターンが大きくなります。みなさんが給料日に悲鳴をあげるように、保険料は毎月のカネから企業に差っ引かれて徴収されてるわけで、要するに受け取る報酬の大きさに応じて支払った量も決まって来るということです。毎月100万もらうひとと20万もらうひとで、同じ保険料を支払っているわけありませんよね。

 

  •  報酬とは、賃金、給料、俸給、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、労働者が、労働の対償として受けるすべてのもの。ただし、臨時に受けるもの及び3か月を超える期間ごとに受けるものは、この限りでない。
  •  賞与とは、賃金、給料、俸給、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、労働者が、労働の対償として受けるすべてのもののうち、3か月を超える期間ごとに受けるもの。

報酬のこと

 報酬は毎月変動するものです。算定事務の煩雑さを避けるため、健康保険法では報酬額ごとに50級の枠を作り、それを「標準報酬月額」として共通して算定の基礎とすることにしています。たとえば、毎月50000円もらっている人は第1級に分類され、それに対応して標準報酬月額は58000円になります。

 

平成22年 健康保険法 問8 肢A

標準報酬月額は、被保険者の報酬月額に基づき、50等級区分によって定められるが、最低は第1級の58,000円であり、最高は第50級の1,390,000円である。

 答えはマル。最低と最高ぐらいはなんとなく覚えとけよという社労士会のお達しでしょうか。

 

 これで多少の変動には対応できるようになりましたが、大幅に変わるときには不公平感が出ます。それで、この等級区分は何度も見直しされます。どういうタイミングで再決定され、見直しがされるのか見ていきましょう。

 

【資格取得時決定】

 被保険者になった時点でわれわれの級数は決められます。ただ、まだ金をもらってない状況ですので、大体で決めます。

  • 2か月ごとに60万うけとることになってるばあいは60万を総日数(30+31など)で割って、一日ごとの給料を割り出し、それに30を掛けることで大体の月給を算出します。
  •  時給や日給、出来高、請負などで給料が決まる場合は似たような境遇のやつが受け取るカネを平均したものが報酬月額になります。

 要するに計算が面倒な奴は似たようなやつの平均で決定します

 

 資格取得が1~5月の場合は8月まで、6~12月の場合は翌年の8月までが級数の有効期間です。次の8月まではそのレベルでいられるわけですね。

 

【定時決定】

 標準報酬月額の決定し直しです。

 毎年7月1日に、前3カ月(4,5、6月)の平均月収を計算して見直しをします。

 

 一口に言えばこれだけですが、もちろん細かい規定があります。たとえば三か月欠勤していてお金をもらってない場合とか。働いた日数が著しく少ないとか。そういうのは問題を解きながら覚えていきましょう。まずは原則からです。

 これで決定された標準報酬月額はその年の9月から翌年の8月まで有効です。健康保険の資格取得が6月、7月の人は定時決定が行われないので資格取得決定の期間とはかぶっていないのを確認してください。

 

【等級区分の改定】

 毎年3月31日になりましたら、被保険者全体を見回しまして、等級区分の改定が行われることになります。

 

  •  最高等級に属する人が全体の1.5%を超え、それがずっと続くと見込まれるとき。その年の9月から、政令で、当該最高等級の上に更に等級を加えることができます。つまり、ちょっとマックスの数が多すぎるのでもっと細かく分けちゃおうということです。

 

 ただし好き勝手に分けていいわけではありません。改定したあとの最高等級の割合が0.5%を下回るように作ってはいけません。

平成16年 健康保険法 問1 肢B

毎年3月31日における標準報酬月額等級の最高等級に該当する被保険者数の被保険者総数に占める割合が100分の5を超える場合において、その状態が継続すると認められるときは、政令で等級区分の改定を行うことができる。

  答えはバツ。改定は1.5%からでしたね。

 

【随時改定】

  資格取得時に決め、次は定時決定で決めてきました。最後に等級区分の改定がないかどうか見て年度がおわるわけです。つまりこれまでのものが決定の基本でした。

 ここで説明する「随時改定」は昇給などで大幅にカネが変動した場合に行われます。

 

 随時改定が行われる要件の基本はこちら。:

 「三か月の平均月給 で 2等級以上の差がでたとき」

 

 1,2,3月とかで受け取った賃金総額を3で割った時に、今の自分のレベル(級数)よりもはるかに高いお金をもらってたらレベル見直しが行われるのです!

 

 1~6月に随時改定があった場合は8月まで、

 7~12月に随時改定があった場合は翌年の8月までが有効期限になります。

 

平成18年 健康保険法 問2 肢C

 第49級の標準報酬月額にある者の報酬月額が昇級し、その算定月額が1,415,000円以上になった場合、2等級以上の差が生じたものとみなして随時改定が行われる。

  マックス50級なので49級の人は2等級の差を生じさせることはできませんね。もしできたら51級になってしまいますが、そんなもんないので。

 でも答えはマルです。49級の人も「2等級相当」の差ができれば随時改定されます

 

 ※ちなみにずっと昇給の話ばかりしてきましたが、賃金が下がってももちろん随時改定が行われます。また給料が下がる原因は減給だけではなくて休業した場合も含まれますよね。その場合は「休業手当」を給料として改定するかしないかを計算します。

 

育児休業等終了時改定&産前産後休業終了時改定】

 育児休業をして復帰したら報酬が低下していた、みたいな場合は申し出をすると改定が行われます。たとえば3月に職場復帰したら、3,4,5月の分を計算して改定です。

平成19年 健康保険法 問2 肢D

育児休業が終了した際、終了日の翌日が属する月以後3か月間(育児休業等終了日の翌日において使用される事業所で継続して使用された期間に限るものとし、かつ、報酬支払いの基礎となった日数が17日未満である月があるときは、その月を除く。)に受けた報酬の総額をその期間の月数で除して得た額が標準報酬月額等級において2等級以上変動しない場合であっても、被保険者の申し出によって標準報酬月額の改定が行われる。

  2等級変動してないのに改定ができます。答えはマル。1等級でも改定ができるということですね。

 

【特例】

 以上、「資格取得」「定時」「随時」「育児」「産前産後」の5つの方法によって報酬月額が決定されることを見てきました。最後に、計算できねえわといったような例外について見ていきましょう。

平成21年 健康保険法 問4 肢D

標準報酬月額は、毎年7月1日現在での定時決定、被保険者資格を取得した際の決定、随時改定、育児休業終了時の改定及び産前産後休業終了時の改定の5つの方法によって定められるが、これらの方法によっては被保険者の報酬月額の算定が困難であるとき(随時改定の場合を除く。)、又は算定されたものが著しく不当であると認めるときは、保険者が算定した額を当該被保険者の報酬月額とする

  答えはマル。算定が困難なときは保険者に身を委ねます。

 

 賞与のこと

 標準報酬を決めたのと同じように、標準賞与も決めます。

 

 たとえばA月に300万500円の賞与を受け取ったときは300万が標準賞与です。1000円未満は切り捨てになります。

 続くB月に200万、C月に100万もらうと、標準賞与は200万、100万になるわけです。

 でも一年の標準賞与の限界は573万なのでC月は73万円が標準賞与になります!