今回読むのはこちら。
読む前に気になっていたことは「音読と朗読は何が違うのか?」でした。
それはすなわち、朗読が満たすべき要件はなにか、という問いでもあります。そのことを意識しながら、読んでいくことにしましょう。
結論からいえば、この本からはわかりません。
そもそもレッスンの本なので、発音がどうと書いています。
発声と身体のレッスン 増補新版 ─ 魅力的な「こえ」と「からだ」を作るために
発声のレッスンといえば鴻上さんの本を思い出します。文庫で読みやすいのでにんじんとしては鴻上さんの本をおすすめしますが、朗読に特化させているという点で読み手の方には参考になるかもしれません。
音読と朗読は何が違うのか?
朗読に興味・関心を持っている人が多くなったのは大変喜ばしいのですが、朗読発表会へ行くと、終始テキストを手に音読している場合が多いのは残念です。また、語り、一人芝居、朗読を分別していない人に出会います。(10ページ)
朗読と音読の違いについて考えていたら、朗読、音読どころか、
- 朗読
- 音読
- 語り
- 一人芝居
という四つも区分けができてしまいました。
残念ながら、この本ではこのそれぞれの言葉の定義をまったくしていません。ただ一文だけ、「朗読だけがテキストを見ながら読むのはおかしいことで、これでは音読の域を脱していません」とあることから、テキストを見ないことが朗読の条件であることがわかります。
じゃあテキストを見ているかどうかわからない場合は「朗読です」と言い張るしかないわけで、これは朗読ですと正式に表明するためにはテキストを持っていないことの証拠が必要です。到底受け入れられる条件ではありません。(普通の感覚だと思うのですが、朗読をやられている方はどう思われますか?)
にんじんとしてはテキスト云々ではなく、
- 朗読とは、聞き手に向かって、感情をこめて読み上げる。
ことです。音読との違いは(1)聞き手がいるか、いないかもそうですし、(2)感情を込めるという点の二種に求められます。(1)(2)のうち(2)のみを満たすとき、それを表現読みと呼んでいます。いかがでしょうか?
一人芝居というのは一人で演じる芝居のことであって、身体動作も含めたものだと考えられます。では「語り」とはなんなのか……この著者がどう考えていたのかは文章からは読み取れません。
検索してみると、次のような記事がありました。
ここにおいて、朗読は聞き手のいる音読とほぼ同一視されています。一方、問題の「語り」は、読み手の解釈を交えて音声化することとあります。つまり我々の考える朗読と同じ意味です。即ち、語りと朗読の差がわかりません。
そうこうしているうちに見つけたのがこちらのサイト。
元がブログということもあり根拠とするには不十分ですが、「テキストの暗記」という要素が持ち出されています。これをもとに、用語を定義しておきましょう。
まとめ
- 音読とは、テキストを声に出して読むことである。
- 表現読みとは、感情を込めた音読である。
- 朗読とは、聞き手がいる表現読みである。
- 語りとは、テキストを持たずにする朗読である。
- 一人芝居とは、身体動作を伴う語りである。
とにんじんは、考えています。この本から朗読と音読に違いを読み取ることは出来ませんでした。ただ、語りと一人芝居という概念を教えてくれました。
聞き手がいるが、感情を込めないで音読するというパターンがありますが、これをナレーションと呼んでは駄目でしょうか? 音読はテキストを読むことですので、たとえば適当に声を出しているだけでは音読になりません。また言い間違いはテキストを読むことに失敗しているので音読ではありません。いわば正確に読む必要がありますよね。
エクササイズという項目があって、朗読のためにおすすめらしい作品が掲載されているのですが、朗読しやすいようになにか手が加えられているわけでもなくそのまま載せているだけなので「作品名だけ載せればいいのでは?」という感は拭えません。またアクセントなどの例文が色々と載せられているのですが、肝心の音がないので自分の理解と正しいのかわかりません。