にんじんブログ

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にんじんと読む「おしゃべりな腸(ジュリアエンダース)」🥕 ②

 次は「小腸」です。長さは7メートルほど。トランポリンなんかやってると小腸も揺れる、揺れ揺れな器官です。光沢があって、ピンク色で、かなりきれいです。小腸はぐねぐねと曲がりくねっているだけに見えますが、真の実力はズームインしたときに見つかります。小腸にはひだひだがあるのですが、ひだひだにはさらにひだひだがあり、7メートルの長さを使って最大限に表面積を増やそうとしています。小腸を眺めてみると絨毯みたいになっているので、ひだひだのことを絨毛(じゅうもう)といいます。表面積を増やそうとするコイツの工夫はとんでもなく、もしそれをまっすぐに引き延ばしたら全部7キロメートルになります。

 消化するのはそれだけ大仕事。口で潰し、胃で溶かし、小腸でさらに最小サイズにまで分解しなければなりません。小腸が始まる部分には穴があって、肝臓と膵臓から液体が流れてきます。これによってリンゴはもはやリンゴではなく、何千万もの分子で構成される栄養液へとかわっています。それをひだひだでキャッチするわけです。

 ひだひだにはとても細い血管が走っております。栄養はそこで吸収して、肝臓へ。肝臓は有害物質が紛れていないか検査します。そして肝臓くんはまず自分の栄養分を補給し、心臓へ残りを送ります。あとはご存知の通り、心臓が全身へ血液を送り出すわけです。この流れのなかで糖分子が酸素と結びついてエネルギーと水分を出し、ついでに熱を出すので、体温が一定に保たれます。こういうプロセスのなかで「エネルギー」が補給されるわけですから、食べた瞬間に元気満タンなどということにはなりません。消化するためにエネルギーが必要なので、むしろ食後は食前より疲れています。

 

 おへその右下あたりに「盲腸」っていうのがあります。これは大腸にくっついてる器官です。正確には「虫垂(ちゅうすい)」といって、その付近のことを大雑把に「盲腸」といっています。というのも、虫垂のあたりというのは大腸の中でもへんぴなところにあって、消化の役にまったくたちません。でも、やっぱりいるからには特別な力を持っているのです。そうでなければ、医者に切除されてしまいます。

 小腸が消化できなかったものは、「大腸」に送られます。このフロアにはさっきみたいなひだひだはありません。その代わり、細菌が生息しています。彼等が残り物を分解してくれるのです。その細菌のお目付け役として、「虫垂」がいるのです! 彼らは免疫システムであり、細菌を監視しています。有害な細菌がやってくるとすぐさま包囲し、叩きのめします――――が、叩きのめした時に炎症を起こす場合があり、虫垂が腫れて大きくなることがあります。これがいわゆる虫垂炎。モウチョウともいわれますね。

 でも監視だけが虫垂の役目ではありません。たとえばあなたが下痢になったとしましょう。下痢になると腸内細菌を全部まとめて吐き出してしまいます。そこに虫垂が登場。とにかく関係ないところにいるので、その中にいた「良い細菌」の一団が大腸に広がっていき、定着し始めるのです!

 

 さて、「大腸」に話をうつしましょう。彼は小腸をぐるりと取り囲む太い管です。彼はその大きな空間を利用して、平均16時間も残りかすをていねいに分解します。そして他の場所では取り込めないような栄養分を取り込んでくれます。たとえばカルシウムなんかも大腸です! 栄養分は肝臓に送られ、やっぱり検査します。検査を免れるのでは、管の最後数センチメートル。もう十分にボコボコにしてるので、直接循環系に回されます。

 最後の数センチメートルで直接吸収。これを利用しているのが「座薬」です。口から薬を入れるとどうなるかというと、薬の成分の大半がボコボコにされてしまいます。だから飲み薬は成分を大目にいれておかなければなりません。ところが座薬だったら! そう、直接薬効が届くのです! 消化にはエネルギーがいると書きましたが、薬をボコるエネルギーも当然かかります。つまり体に負担がかかります。そういうときには座薬。特に、子供と老人の場合。

 

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