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にんじんと読む「自尊心の育て方」🥕 第一章+第二章

第一章 自尊心の性質

 『人間は自分がどのような存在であるかを定義し、そのアイデンティティが好きか否かを決める能力がある。自尊心の問題とは、人間のこの判断能力の問題である。』(自尊心の育て方―あなたの生き方を変えるための,認知療法的戦略)。アイデンティティは私たちを支えるものだが、苦痛をも与える。まず肝要なことは、「ではどんなアイデンティティがよいか」といったようなことではなく、「判断の問題」だということだ。解釈の問題といってよい。

 「自尊心の問題」には、状況的なものと性格的なものの二種類がある。前者はまさにその状況という特定の領域にだけ姿をあらわす。ふつうは自信があっても、仕事では失敗しがち。社会的にまったく無力なのに自分のことを有能だと思っている人もいる。こういうのは認知が歪んでいるのが問題で、メガネが曇っている。一方性格的なものは、人生の初期に経験した虐待や遺棄などに端を発する自己否定的なアイデンティティにもとづくもので、いくら眼鏡を拭いても自己否定の感覚を取り去ることができない。治療の方針が変わってくるわけだ。

 まずはメガネに気づくことからはじめよう。なぜそれをわざわざ使ってしまうのかも理解しよう。そして次にそのメガネをどうすればいいか、正確な世界の見方を考えよう。それらをすべて把握した後は、みずからを受け容れることを、学んでいく。

 

 

第二章 病的な批評家

 病的な批評家とは、「内なる声」のことだ。彼は『他者と比較し、あなたに欠けていることを探し出す。完全でなければならないという不可能な基準を設定し、ごくわずかな失敗についても、あなたを叩きのめす。批評家はあなたの失敗をつねに記憶しておき、あなたの長所や達成したことを思い出させようとは決してしない。批評家にはあなたがどのように生きるべきかのシナリオがあり、その規則を少しでも破ろうとしようものなら、あなたが誤っていることを声高に叫び出す。批評家はあなたが最高でなければならないと命じ、もしも最高でなかったらあなたは何者でもない。批評家は、馬鹿、無能、ブス、利己主義、弱虫と悪口雑言を吐き、それがすべて真実であるとあなたが信じるように仕向ける。批評家はあなたの友達の心を読み、彼らがあなたに退屈させられ、興味を失わされ、失望させられ、嫌悪されると、あなたに信じるように働きかける』(自尊心の育て方―あなたの生き方を変えるための,認知療法的戦略)。

 批評家は合理的で、正しいように見える。だから私たちはいつもそれを信じる。批評家が使うのは言葉ばかりではない。イメージもある。記憶も。私たちは批評家のことばから利益を得ているから、それによって信じるという行動が強化される。批評家のことばによって、危険から逃れることができるからだ。安心できるのは人間にとって非常に重要なことで、つまり、批評家にしたがって何もしなければ、不安にさらされることがない。

 「強化」という過程には正と負のものがある。もしなにか手伝いをして妻があなたを抱きしめてくれたら、また手伝おうという気になるかもしれない。これが正の強化だ。あるいは知らない人をこき下ろすとまるで自分が強くなったように感じる。これも正の強化だ。一方、負の強化は『身体的あるいは心理的苦痛に置かれた時にだけに生じ得る』。そして、逃れられれば、すべての行動は強化される。面倒くさい試験勉強から逃れるためにした部屋の掃除は、試験勉強という負荷から解放してくれるので、また掃除をすることになるだろう。ストレスを感じた時にブチ切れると、ストレスが発散されるので、余計にキレやすくなる。要約すると、「キレない方法はキレないこと」だ。強化という観点で、このことが説明される。批評家に従うことも。批評家は正負の両方の強化にかかわる。

  1.  批評家はあなたに「正しいこと」をするように迫る
  2.  批評家は(ごくまれに)あなたに「あなたは正しい」と感じさせてくれる。たとえば他者と比較して、あいつはカスだなあと言ってみたりして自己価値を高める。あるいは完璧すぎる基準を設定する。この第二の方法は自己価値を高めるにあたって障害になるように感じるかもしれないが、偶然に、奇跡的に、完璧主義的な要求を満たす行動に成功することがある。まるでスロットマシーンに当たるかのように。そしてあなたは完璧な基準をむさぼるジャンキーとなる。
  3.  批評家は無価値感をやわらげる。高すぎる設定は「必死にがんばればすべてのことは実現できる」という全能感を生む。
  4.  批評家は失敗の恐怖をやわらげる。たとえば転職の機会を一年後にすれば、不安はやわらぐ。話しかけるのをやめれば、話す不安はなくなる。
  5.  批評家はあなたが拒絶されないようにする。「嫌われている」とあらかじめ思い込んでおけば、本当に嫌われていたときにショックが少なくて済む。批評家はマインドリーディングを頻繁に行い、「相手はきっとこう思っているんだ」と伝え続ける。

 批評家はいろいろな手口で、いろいろとあなたを「助ける」。だが彼がもたらす回避行動によって、あなたは著しく制限される。この批評家をなんとかするには、まずは批評家を捕まえることから始めなければならない。そして捕まえ方は、やはりこれしかない。:メモすることだ。自己攻撃をしていることに気づき、書き留めること。とにかく、気づくこと。自分が「そうすべきだ」と感じながら、それを回避するためにした言い訳を、すべて書き留めること。

 なにがすべきことで、なにが批評家の言い訳か、あなたは理解する。