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過去問から学ぶ労災保険法 基本(適用事業・労働者)&業務・通勤災害

 労災保険法の武者修行。

 

 

労災保険の基本

 労災保険のカバー範囲は非常に広い。

 ほぼ全部と考えよう

 

 だからこそカバーされない部分が問題になる。

 カバーされないのは「国・地方公共団体の機関」「行政執行法人」である。非常勤などは対象になるので注意。

 

 

<労働者を使用する事業であれば、事業主がその旨を所轄行政庁に届け出ない場合でも、一部の事業を除き、適用事業である。>⇒〇 正しい。届出がなくても適用事業となる。

<労働者を必ずしも常時使用していない事業であっても、労働者を使用する場合には、一部の事業を除き、適用事業に該当する。>⇒〇 正しい。労働者さえいれば労災が関わって来る。

共同企業体によって行われる建設事業において、その全構成員が各々資金、人員、機械等を拠出して、共同計算により工事を施工する共同施工方式がとられている場合、保険関係は、共同企業体が行う事業の全体を一の事業とし、その代表者を事業主として成立する。>⇒〇 正しい。そういう扱いになる。

 

 

労災保険法による保険給付は、労働者を使用するすべての事業について、業務上の事由又は通勤による労働者の負傷、疾病、障害、死亡等に関して行われる。>⇒✖ 「すべて」ではない。

労災保険法は、国の直営事業で働く労働者には適用されない。>⇒〇 正しい。こいつらには別の保険がある。

労災保険法は、非現業の一般職の国家公務員に適用される。>⇒✖ 国家公務員には適用されない。非現業とは、現場ではない人。

労災保険法は、常勤の地方公務員に適用される。>⇒✖ されない。

労災保険法は、市の経営する水道事業の非常勤職員には適用されない。>⇒✖ される。非常勤なので。

労災保険法は、国の直営事業及び官公署の事業(労働基準法別表第1に掲げる事業を除く。)には適用されないが、独立行政法人独立行政法人通則法第2条第4項に定める行政執行法人を除く。)の職員には適用される。>⇒〇 される。「独立」行政法人は名前の通り、国からは独立している。適用されないのは行政執行法人。

労災保険法は、行政執行法人の職員に適用される。>⇒✖ されない。

 

 適用事業もカバー範囲が広いが、

 労働者のカバー範囲も広い

 

 要するに、指揮命令を受けているならば

 つまり「労働者」であるなら労災保険が適用される。

 ただし、次の問題に注意。

 

<障害者総合支援法に基づく就労継続支援を行う事業場と雇用契約を締結せずに就労の機会の提供を受ける障害者には、基本的には労災保険法が適用されない。>⇒〇

 

業務災害・通勤災害

 労災保険の保険給付は以下の三つ。

  •  業務災害に関する保険給付
  •  通勤災害に関する保険給付
  •  業務上の事由に関連する給付として、二次健康診断等給付

 

 まず問題になるのが「業務災害」と「通勤災害」の認定である。

 第一に「業務災害」であるが、これを見分けるのはあまり難しくない。なぜなら業務で指をなくしたり、車に轢かれるのは見た目にもわかりやすいからである。問題なのは、見た目にはわかりづらいもの。たとえば病気や、心理的なものの認定!

 このため業務上の疾病については厚生労働省がリストを出している。『労働基準法施行規則別表第1の2』がそれで、これに当てはまらないものは業務上の疾病ではない。「その他業務に起因することの明らかな疾病」と包括的に定義されているのでその点は安心。

 

<業務上の疾病の範囲は、労働基準法施行規則別表第一の二の各号に掲げられているものに限定されている。>⇒〇 正しい。

厚生労働省令(労働基準法施行規則別表第1の2)では、業務上の疾病を例示しており、例示された最後の疾病は「その他業務に起因することの明らかな疾病」であるが、その具体的な疾病名は、厚生労働大臣が告示している。>⇒✖ 告示などしていない。

<業務上の負傷に起因する疾病は、労働基準法施行規則第35条及び別表第1の2で定める業務上の疾病には含まれない。>⇒✖ 含まれている。ケガして、それが原因で病気になったら業務上の疾病である。

<業務との関連性がある疾病であっても、労働基準法施行規則別表第1の2第1号から第10号までに掲げる疾病その他「業務に起因することの明らかな疾病」に該当しなければ、業務上の疾病とは認められない。>⇒〇 正しい。定義通り。

<業務上の疾病が治って療養の必要がなくなった場合には、その後にその疾病が再発しても、新たな業務上の事由による発病でない限り、業務上の疾病とは認められない。>⇒✖ 再発なら認められる。

 

 具体的な疾病としては第1号から10号まで定められている。とはいえ、この中で試験に出るのは「第8号:脳血管疾患及び虚血性心疾患等」と「第10号:心理的負荷による精神障害」である。過去問をチェック。

 

 第二に「通勤災害」について見る。

 通勤災害は家から職場、職場から職場への途中で起きる業務外の移動途中に起こるものである。

 

<転任等のやむを得ない事情のために同居していた配偶者と別居して単身で生活する者や家庭生活の維持という観点から自宅を本人の生活の本拠地とみなし得る合理的な理由のある独身者にとっての家族の住む家屋については、当該家屋と就業の場所との間を往復する行為に反復・継続性が認められるときは住居と認めて差し支えないが、「反復・継続性」とは、おおむね2か月に1回以上の往復行為又は移動がある場合に認められる。>⇒✖ 配偶者の別居していて、その家屋を一か月に一度往復しているという事実があるなら「家」とみなしてよい。

<労働者が転任する際に配偶者が引き続き就業するため別居することになった場合の、配偶者が住む居宅は、「住居」と認められることはない。>⇒✖ 上の通り、認められることがある。

<労働者が、就業に関し、住居と就業の場所との間の往復に先行し、又は後続する住居間の移動であって厚生労働省令で定める要件に該当するものを、合理的な経路及び方法により行うこと(業務の性質を有するものを除く。)は、通勤に該当する。>⇒〇 職場に行く前に要件を満たした別の場所に移動することは通勤に該当する。

<労働者が、就業に関し、厚生労働省令で定める就業の場所へ他の就業の場所から合理的な経路及び方法により移動すること(業務の性質を有するものを除く。)は、通勤に該当する。>⇒✖ 目的地が厚生労働省令で定める場所でないと駄目。

移動の途中の災害であれば、業務の性質を有する場合であっても、通勤災害と認められる。>⇒✖ 業務内なら通勤災害にはならない。

通勤災害における合理的な経路とは、住居等と就業の場所等との間を往復する場合の最短距離の唯一の経路を指す。>⇒✖ そんなキツくない。ふつーの労働者が使うであろう道のりなら色々認められる。

<退勤時に長男宅に立ち寄るつもりで就業の場所を出たものであれば、就業の場所から普段利用している通勤の合理的経路上の災害であっても、通勤災害とは認められない。>⇒✖ 「つもり」だろうが経路上なら通勤災害になる。

 

 通勤災害は通勤途中に起こった災害のことである。

 怪我していればわかりやすいが、

 疾病だとやはりわかりづらい。

 そこで厚生労働省令で定められている。

 

<通勤による疾病とは、通勤途上で生じた疾病その他厚生労働省令で定める疾病をいう。>⇒✖ 違う。通勤途上で生じた疾病ではなく、厚生労働省令で定める疾病である。通勤途上で生じた疾病よりも狭い。その中身は「通勤による負傷に起因する疾病その他通勤に起因することの明らかな疾病とする」である。

<業務上の事由による疾病として療養補償給付の対象となる疾病の範囲は、厚生労働省令(労働基準法施行規則別表第1の2)で定められており、通勤による疾病として療養給付の対象となる疾病の範囲も、この厚生労働省令の規定が準用される。>⇒✖ 準用されない。業務災害の疾病は別表で定まっているが、通勤災害の疾病はこの別表は使わない。ただ単に「通勤による負傷に起因する疾病その他通勤に起因することの明らかな疾病とする」とされているだけである。

<通勤による疾病については、通勤による負傷に起因する疾病のほか、業務上の疾病の範囲を定める厚生労働省令の規定が準用される。>⇒✖ されない。

 

 

 「通勤の逸脱・中断」の間・その後は通勤に該当しない。

 

 

通勤としての移動の経路を逸脱し、又は移動を中断した場合における逸脱又は中断の間及びその後の移動は、原則として通勤に該当しない。>⇒〇 正しい。抜け出るともう通勤は終わり。ただし軽めの中断の場合は例外がある。

<通勤としての移動の経路を逸脱し、又は移動を中断した場合でも、その逸脱又は中断が、日常生活上必要な行為であって厚生労働省令で定めるものをやむをえない事由により行うための最小限度のものであるときは、その逸脱又は中断の間を除き、その後の移動は、通勤に該当する。>⇒〇 正しい。このような場合はOK

労災保険法第7条に規定する通勤の途中で合理的経路を逸脱した場合でも、日常生活上必要な行為であって厚生労働省令で定めるものをやむを得ない事由により行うための最小限度のものである場合は、当該逸脱の間も含め同条の通勤とする。>⇒✖ 逸脱の間はやっぱり通勤にはならない。「その後」が認められるだけである。