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にんじんと読む「不登校という生き方(奥地圭子)」🥕

第一章 不登校はなぜ起きるのか

 不登校とはなにか。文科省不登校を「何らかの心理的、情緒的、身体的、あるいは社会的要因・背景により、児童生徒が登校しないあるいはしたくともできない状況にあること」で「年30日以上欠席したもの」(病気や経済的理由を除く)と定義している。それでは二十九日休むのは不登校ではないのか、保健室登校はいいのかなど定義上のいろいろの問題はある。

 不登校が起きるとき、その原因を問いたくなる。多くの親は学校に行くことが当然だと思っているし、原因さえわかれば行くだろうと考えている。文科省は何度も聞き取り調査を行ったが、調査の対象は子どもではなく学校の教師だった。いじめなどの明確な理由があればわかりやすいが、子どもからすれば明確な理由がないことも多い。学校で感じた雰囲気をうまく言葉にできないこともある。

  •  東京シューレという団体がそこへ訪ねてくる「不登校の子どもたち」に調査したところ、原因の第一位は【子どもどうしの関係】で40.3%で、第六位には【よくわからない】(24.1%)となっていた(1989年のデータ)。この調査を新聞が報じ、文科省不登校調査に乗り出す(1998年)。十五歳時に不登校だった人で現在20歳になっている人を対象にして、合計で1393人に質問をした。すると第一位は【友人関係をめぐる問題】で、非常に似通った結果となった。*1

 不登校の原因のほとんどは学校との関係にある。《不登校となる子どもの大半は、学校へ行き続けることが、その時本人にとって、何らかの意味でマイナス》(P41)なのである。

 

 「学校に行かないことが問題だ」という視点を、「学校に問題があって行かない」という視点へ切り替えていかなければならないのではないか。

 

不登校という生き方 教育の多様化と子どもの権利 (NHKブックス)

不登校という生き方 教育の多様化と子どもの権利 (NHKブックス)

  • 作者:奥地 圭子
  • 発売日: 2005/08/26
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

 

第二章 学校以外の道はあるか

 「義務教育」という言葉には語弊がある――「義務だから来ないと駄目!」。ここでいう義務とは、子どもが学校に行く義務でもなければ、親が学校に生かせる義務でもない。それは権利・教育を受ける権利を保証する大人たちの義務である。それは行政が学校設置義務を負い授業料を無償とすることですし、一方では親が就学の機会を設ける義務でもある。しかしそれは学校へ行かせろということではなく、学ぶ権利を保証するということで、いじめを受け続けても学校へ通わせることは逆に成長を阻害することもある。

 学校以外にもさまざまな教育方法がある。フリースクール・ホームエデュケーションなど。

<にんじんメモ>

 この種の主張は学校のあり方について論じた本には多く見られるが、少なくとも法律上はそうなっていない。日本国憲法第二十六条においては「保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ」とし、教育基本法第四条においては「保護する子女に、九年の普通教育を受けさせる義務を負う」と書いている。さらに学校教育法第十七条において「保護者は、子の満六歳に達した日の翌日以後における最初の学年の初めから、満十二歳に達した日の属する学年の終わりまで、これを小学校、義務教育学校の前期課程又は特別支援学校の小学部に就学させる義務を負う」としており、明らかに学校に通わせることが普通教育であって、通わせることが義務だと明記されている。普通教育の幅をフリースクールにまで拡充するという著者の《将来的》な期待はいまだ実現していない。

 現行法上では、子どもは必ず学校に在籍していなければならないし、親は子どもを学校に行かせなければならない。実際、学校教育法施行令第20条によれば、学校長は休業日を除き引き続き七日間出席せず、その他その出席状況が良好でない場合において、その出席させないことについて保護者に正当な事由がないと認められるときは教育委員会に通知することになっているし、教育委員会はその通知を受けて次条をもって保護者に対して「学校に行かせなさい」と督促することが可能になっている。しかもその督促を受けた親がその義務を履行しない場合は学校教育法第144条をもって、10万円以下の罰金刑に処されるのである。

 

 以上を受けるならば、やはり明らかに、次のことを主張しなければならない。「この不登校は学校教育法施行令第20条における【正当な事由】にあたる」と。そして実は不登校が正当な事由に該当することは、文部科学省が認めている。

中央教育審議会 初等中等教育分科会(第40回)議事録・配付資料 [資料3−2]−文部科学省

 

 

 

*1:20歳となると「よくわからない」と答える人は相当少なくなっている。