生きてるだけでお金がかかるよ。
今回は、社会保険の話です。社会保険はある一定の年齢を過ぎると、自動的に加入する保険です。すべての種類を列挙すると
(2)労災保険
(3)雇用保険
(5)介護保険
となっております。
ただ、この記事は「最低限の社会保険」というテーマであるため、何もしなくても加入するであろう保険について話をしたいと思います。
具体的には
です。車や不動産、個人事業は持っていないものとします。また、所得は給与所得のみであるとし、配偶者はいないものとします。
国民年金
平成30年度(平成30年4月~平成31年3月まで)は月額16,340円です。
満20歳になったら毎月16000円ぐらいの支出が強制的に産まれます。
その代わりに老後に金がもらえることは周知の事実です。また、事故って障害負ったり、死んだりしたときにもお金が出ます。
※
これからどんどん保険料は上がっていくと思われます。
令和元年度は月額16410円になりました。
年金より自分で貯めたほうがいいんじゃないの?
結論からいえば、受給開始からの年齢によります。
老齢基礎年金は65歳から支給され、年額77万9300円。
40年間キッチリ毎月16000円払ったとすると合計で768万円。
つまり、768万÷77万≒10で、支給開始から10年間と少し生きられれば普通に貯蓄するよりも利益が出ます。
- もっと素早く利益を出すためには、年金の「前納」が便利です(国民年金前納割引制度(現金払い 前納)|日本年金機構)。これは保険料を早くに納付することによって割引される制度です。
たとえば2年分の年金を前払いしておけば、全体で14520円安くなります。ということは14520*20=290400で、40年間全体で29万円ほど払う金額が少なくなるのです。
768-29=739万円ですから、739÷77=9.59年。
つまり9年と半年で普通に貯蓄するよりも利益が出ます。
9.5年………(^ω^)
- もっともっと早く利益を出したい。そんな方には「付加年金」の制度が便利です(https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/hokenryo/20150331-03.html)。これを40年間納めると、受給額が78万100円になります。
そうすると、前払いと組み合わせて739÷78=9.47年。
つまり9年と五カ月ほどで普通に貯蓄するよりも利益が出ます。
9年と5カ月………(^^)
というところまで書いてきて、なんとなくお察しの通り、
年金による利益はどっちにしても10年かかります。75歳からが勝負です。
ものすごく大雑把な計算ですが、今の状況がずっと続いたとしてもこういうことになります。それから、年金制度が破綻するという心配はほとんどありません。なぜなら毎月の支払額を増やしたり、受給開始年数を遅らせたり、支給する額を減らせばいいからです。加えて年金は他の税収も使って維持されています。
国民年金は強制加入なので納付義務があります。しかし払いたくない、払えない。そんなとき「免除」「猶予」という制度があります。
国民年金の免除について
国民年金は所得がどうあれ毎月一定額支出されます。その額はおよそ月額16000円程度になっており、負担が年々大きくなってきています。払う余裕のある場合は払えばよいのですが、ここまで額が大きくなると払う余裕がないこともあります。
そこで活用する制度が国民年金免除制度です。
免除対象者について
所得が少なく本人・世帯主・配偶者の前年所得(1月から6月までに申請される場合は前々年所得)が一定額以下の場合や失業した場合など、国民年金保険料を納めることが経済的に困難な場合
とあります。前年所得が低い場合に使うことができます。では具体的にどれぐらいの所得なのか、というと……。
全額免除
前年所得が以下の計算式で計算した金額の範囲内であること
(扶養親族等の数+1)×35万円+22万円
4分の3免除
前年所得が以下の計算式で計算した金額の範囲内であること
78万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
半額免除
前年所得が以下の計算式で計算した金額の範囲内であること
118万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
4分の1免除
前年所得が以下の計算式で計算した金額の範囲内であること
158万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
こちらが目安になります。もちろん免除された分だけ、もらえるお金は減りますが、ただ滞納していると「年金が減るどころかもらえない」ことにもなりますし「障害年金・遺族年金が受け取れない」ということにもなります。
免除した際に年金としてもらえるお金はこちら。
4分の1納付の場合は「5/8」が年金額に反映します。
2分の1納付の場合は「6/8」が年金額に反映します。
4分の3納付の場合は「7/8」が年金額に反映します。
- 全額免除の場合でも「1/2」が反映されます。極端にいえば何も払わなくても満額の半分もらえるということです。
- 免除から3年間はそのまま後払いができます。それ以上経つと一定額が加算されますので注意。10年まで。
(注意事項)
- 住民票に記載されているあなたの住所がご実家にあって、パパンやママンが普通に働いていると免除させてくれといっても無理です。世帯主の収入でチェックされるからです。
- そこであなたは転居届を提出し一人暮らしを始めます。免除・猶予はX年7月~(X+1)年6月という区切りでやっていて、収入の審査は(X-1)年1月~12月で判定されます。
免除申請における、「配偶者」「世帯主」は申請日時点における世帯構成で判定されます。
国民健康保険
国民健康保険は無職、自営業、フリーターなどの「ガッツリ勤めていない人」が加入します。自分で事業やるぜとか、働きたくねえけど生きる分ぐらいはやるぜ、みたいな自由型の人は皆加入することになるでしょう。
わたしたちは産まれて来て、親の健康保険の被扶養者として育ちます。しかし、一人暮らしするなど自分で世帯を持つとなると健康保険被扶養者の資格を取りやめ、国民健康保険に加入する手続きが必要になります(喪失から14日以内!)。
親の扶養から抜ける、そのときに!
主に必要な書類は、
- 資格喪失証明書
- マイナンバーカードor通知書
- 本人確認書類
ちなみに保険料は世帯主が払うことになりますので「転出届」を提出するほうが先です。国保の保険料は自治体ごとに異なりますが、年収100万円世帯の全国平均が月に約5000円負担となっています。
所得が少ない人は軽減・減免制度があります!
国保の保険料はいろいろ足し合わされて決まります。年収が100万円とかそのレベルなら自分の自治体の軽減・減免制度をチェックしておけば、これよりもさらに減らすことができるでしょう。市役所の国民健康保険課に電話をすれば、自分がその対象になっているかどうかや、保険料の試算をしてもらうことができます。積極的に電話して、将来の支出に備えましょう。
国民健康保険にはないもの:傷病手当金
これは怪我をして入院しているあいだの収入を保障してくれるもので、受け取っていた給料の3分の2以上ということになっています。例外的に保障してくれている組合もありますが、ごく一部です。
国民健康保険に「傷病手当金」の仕組みがない理由 | 知らないと損する!医療費の裏ワザと落とし穴 | ダイヤモンド・オンライン
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