にんじんブログ

にんじんの生活・勉強の記録です。

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2022-01-01から1年間の記事一覧

にんじんと読む「経験の構造」🥕 第一章

第一章 能動的認識行為の現象学 なにかを観察する。森があって、道があって、途中にロープが落ちている。……と思い近づいてみると、ロープはヘビであった。ここでいくつかのことを確認しておこう。 同じものでも、それを見る視点が変われば見え方・現れ方が変…

にんじんの書棚「終わりなき探究 The Eternal Wonder」

今回はパール・S・バックの遺作である「終わりなき探究」です。 物語は胎児の段階から始まり、彼の経験を描写していきます。泣きました、という感想でもよいのですが、この小説には色々なものが詰まっていて、とても頭が良い主人公でさえも抱えきれないほど…

カツラダ(日記)

2022.05.01記 知床遊覧船の社長として今や有名なカツラダ氏であるが、彼は事故が起きてから悪名ポイントを稼ぎ続けている。半沢がやらせたがることで評判の土下座を何度やっても、国民全員が帝愛グループ会長の顔つきになってしまっているのでさほど効果はな…

にんじんと読む「やってはいけないストレッチ」🥕

第一章 なぜ、ストレッチをしても効いた感じがしないのか? 痛みを感じるまでやると、筋肉が緊張して伸びない 体温が低い寝起きは筋肉が伸びにくい。日中にすべき。 伸ばす筋肉と反対の働きをする筋肉を意識する。『ある筋肉が収縮して運動を起こす時には、…

にんじんの書棚「セクストス・エンペイリコスの懐疑主義思想」

この本はいわゆる「ピュロン主義」=古代懐疑主義について書いた本で、彼らの哲学やそれに基づく幸福観にまで踏み込みます。あらゆる判断を保留するこの立場はどう自分たちの立場を主張し、どのようなことを幸福を考え、どう物事を探究するのか。偉そうな言…

にんじんと読む「フッサール 起源への哲学」 事象そのものへ

事象そのものへ フッサールとデカルトは超越論的動機(最終的な源泉・地盤を突き止めようとする)を共有する。だがデカルトが「絶対に疑い得ない確実なこと」を求めたのに対し、フッサールは「認識の起源」を求めた。認識の起源とは、私たちがどう考えるにせ…

にんじんの書棚「『竹取物語』から「かぐや姫」へ」

一番わかりやすい「かぐや姫」解説。いろいろ探しましたが、これ以外の本はかぐや姫各論みたいな本が多く、お話全体に触れたものは少ない印象ですが、「竹取物語」がどんなことをテーマとしているかがわかりやすく書かれており、非常に参考になりました。ジ…

にんじんの書棚「統計学を哲学する」

データをまとめるだけでは帰納推論はできない。データの背後に一定の構造を「前提」することでそれが可能となるのだ―――といったようなことから、「因果」まで、表面的に統計学の教科書を撫でるだけではちっともわからない哲学的背景を教えてくれる本です。た…

にんじんの書棚「仏教思想のゼロポイント」

仏教について解説した本のなかで一番わかりやすく全体像を示してくれた本。一言でまとめるにはとんでもない圧縮をしないといけないが、要するに「原初に還れ」みたいなことだと思います。意識現象を発達させ世界の色々なものを境界づけ分節化してきたのをや…

にんじんの書棚「なぜ、私たちは恋をして生きるのか」

九鬼周造の『「いき」の構造』を通して、相互に関わりあい影響を与え合い「自己を変わり合っていく」というような人との関わりの根底にあるところを教えてくれる一冊。自己を定義するためにではなく、脆い自己を定義し続けるために他者が必要だという話だと…

にんじんの書棚「肉食の哲学」

倫理的ベジタリアンを攻撃する本であると同時に、それよりまともな政治的ベジタリアンとしての道を歩ませようとする本。「自然災害で事故死したシカの肉だったら食えるんですか?」というツッコミが一番おもしろいと思った点です。 以下、過去記事から、本の…

にんじんの書棚「憲法とは何か」

憲法改正をすべきかすべきでないか、という問いかけに一体何の意味があるのかと日頃から思っていた。つまりは「どこを改正するんだよ」という話で、ここに関する議論が欠けているのに何を質問しているのかよくわからない。 また、大事だから書こう、というよ…

機嫌の悪い日(日記)

2022.04.02記 特段なにかあったわけでなくても、機嫌の悪い日というのはある。機嫌というのは「なんかだるい」と同レベルの体調の一種で、「自己株式会社」の「意識部」に届いた差出人不明の通達である。部長がうまく対処できないとなんだか本当にイライラと…

にんじんの書棚「男たち/女たちの恋愛」

明治維新による生活の激変は人々に生き方を考えさせた。西洋に並ぶ国家建設という目標から本当の自分へ、そして本当の自分を理解する真友を求めるところへ進み、遂には恋愛と結婚が接続される大正時代頃までの動きを追っている。何度も読んでしまうのは、「…

にんじんの書棚「人類史のなかの定住革命」

何度も紹介していますが、あらためて「にんじんの書棚」としてまとめておきます。 縄文時代のはじまりを「土器と定住の普及」と位置付けるならば、定住革命は旧石器時代と縄文時代の移行期に位置することになります。定住革命から約12000年、私たちの生活を…

にんじんの書棚「パニック障害と過呼吸」

パニック障害と過呼吸 パニック障害に困っているひとは、是非手に取りたい一冊。「栄養さえとりゃ治るんじゃ」と言い始めたりせず、パニック障害の定義から診断、パニック発作=過呼吸症状の仕組み、””ふつうは””どう呼吸したらいいか・腕や足の簡単なリラッ…

にんじんの書棚「意識と自然(谷徹)」

「意識と自然」 「フッサールの現象学を学ぼうと思い、いろいろな本を読んできたが、なんかいまいちわかった感じがしないんだよな」という方におすすめの一冊。分厚いが、それだけの内容がある。まず現象学の五つの起源について語り、次に「対象」というもの…

にんじんと読む「知への恐れ」🥕 途中まで

はじめに ネイティブアメリカン部族と考古学者がぶつかったことがある。考古学者は彼らの起源について「一万年前にベーリング海峡を渡ってはじめてアジアからアメリカ大陸に来たのだ」と説明したが、部族はこれに反発して言った。「いや、我らの祖先は精霊の…

にんじんと読む「個性と出会い」🥕 途中まで

自己疎外 ひとは集団のなかで自分の個性を殺して生きることがある。そしてこの生き方は、どうやら高い比率でみられるようになっているようだ。彼らは誰かから「正しい答え」を教えてもらいたがっている。それを越えて、たとえば討議に参加しようなどとは思わ…

幸せな世界の幸せ者と不幸せな世界の不幸せ者(日記)

2022.03.19記 『ぽっかぽか』というドラマでは、田所家が出くわす色々なごたごたを描いている。この三人家族はまさに幸せそのものであり、この作品について検索すれば、田所家三人の笑顔ばかりが出てくるだろう。とはいえ、自分がこの作品の(にわか)ファン…

デスノートの倫理(日記)

DEATH NOTEという作品をご存じだろうか。 冒頭にこんな確認をしたことに自分自身おどろくのだが、しかし、この作品はなんと2003-2006年の作品であって、netflix版でさえ2017年なのでもう5年も経つ。とはいえ、2000年はじめの頃の作品が2017年になってさえ名…

時事日記(2022.03.16記)

2022.03.16記 この頃はコロナよりもウクライナのほうが話題である。もはや誰も感染者数など気にしていないような気さえするが、自分もそうならみんなもそうだろうというたぐいの妄想かもしれない。ともかくコロナよりもウクライナのほうが、にんじんとしては…

にんじんと読む「民衆暴力」🥕 新政反対一揆

新政反対一揆 これは、廃藩置県・徴兵令・学制・賤民廃止令・地租改正といった明治政府の一連の政策に反対して起きた一揆を総称して「新政反対一揆」という。有名なのが明治6年、現香川県で起きたものである。6月26日の夕方、ある女が二人の子を連れて歩いて…

(メモ)現象学の主要目的と構造

現象学の主要目的とは、学問の根拠づけであり、とりわけ論理学の超越論的根拠づけである。 意識の自然―現象学の可能性を拓く この目的に沿って現象学の構造を記述するにあたっては、ふつう、いくらかの概念を明確に規定しておくのが望ましい。しかし、それが…

臨終の自然なプロセス

jtca2020.or.jp 臨終前に最も特徴的なのが「下顎呼吸」である。スー・ハーのリズムが不規則になるのだ。息を吸う時に下の顎が上に上がり、息を吐くときにゆっくりと顎が下に下がる、というように説明されるが、要は口をパクパクするわけで、これは呼吸と言い…

にんじんと読む「恐怖の地政学」🥕 中国

もしウクライナに山地があれば、過去戦争を仕掛けて来た国々は容易に攻め込むことができなかっただろう。『地政学とは、おおまかに言うと、国際情勢を理解するために地理的要因に注目する学問である。地理的要因には、自然の要塞となり得る山脈や川筋のつな…

現象学・志向性について

心的現象/物的現象の区別は「心」「物」という二つの実在に関わる区別ではない。それは意識の「作用」とそれが作用する「対象」との区別なのだ。 心的現象は「作用」なのだから、必ず何かに「作用」する。では「作用」自体は対象となりうるのか。もちろん、…

にんじんと読む「性格とは何か」🥕

だれかの性格をおおざっぱに「やさしい」とか表現するのを類型論という。しかしこれはあまりにも粗すぎるので「〇〇」は何点、「✖✖」は何点、……といったように細かく得点を分けて書くのを特性論という。特性論のほうが正確といえば正確だが、一点違うだけで…

にんじんと読む「なぜ、私たちは恋をして生きるのか」🥕 ②

「いき」の構造 「いき」の構造 他二篇 (岩波文庫) の著者にとって、「いき」とは単に芸者のスタイルや江戸の美意識ではなく、生き方に関わるものだった。『「いき」とは、「わが民族に独自な「生き」かた」なのであって、そこには男女関係、さらに言えば、…

現象学の(不完全な)まとめ旅

スタート地点(学問の基礎→直接経験という起源) 直接経験=志向的体験 余り スタート地点(学問の基礎→直接経験という起源) フッサールのそもそもの目的は「諸学問の基礎」を打ち立てることだった。本人も自らを『新デカルト主義』というほどに、これは哲…